前回に引き続き Microsoft SQL Server の Always On 高可用性の構成について解説します.
前回までで必要な準備が終わりましたので今回は実際に AlwaysOn 高可用性グループの構成について解説します.
- Microsoft SQL Server に関するお話
- Microsoft SQL Server – Always On 高可用性 (SQL Server の導入)
- Microsoft SQL Server – Always On 高可用性 (ファイアーウォールポリシー設定)
- Microsoft SQL Server – Always On 高可用性 (Horizon ログ用データベースの作成)
- Microsoft SQL Server – Always On 高可用性 (Always On 高可用性の構成 ①)
- Microsoft SQL Server – Always On 高可用性 (Always On 高可用性の構成 ②)
- Microsoft SQL Server – Always On 高可用性 (Always On 高可用性の構成 ③)
Microsoft SQL Server – Always On 高可用性 (Always On 高可用性の構成 ③)
AlwaysOn 高可用性グループは SQL Server ノード間での通信が必要となります.AlwaysOn 高可用性グループを構成するウィザードの検証でもノード間通信ができるかの確認が行われますので,事前にファイアウォールポリシーで許可を設定する必要があります.
ですので,ファイアウォールポリシーの追加,AlwaysOn 高可用性グループの構成.という順番で作業を行います.
AlwaysOn 高可用性用のファイアウォールポリシーの追加
AlwaysOn 高可用性ではノード間で通信が発生します.そのため,Microsoft SQL Server で通常利用するポートである 1433/TCP の他,5022/TCP の通信を許可する必要があります.
「サーバーマネージャー」-「ローカルサーバー」より,Windows ファイアウォールをクリックします.
「Windows ファイアウォール」の「詳細設定」をクリックします.
以前「Microsoft SQL Server – Always On 高可用性 (ファイアーウォールポリシー設定)」で作成しているポリシーを選択,右クリックでメニューを表示して「プロパティ」をクリックします.
「プログラムおよびポート」タブをクリックし,「ローカルポート」に「5022」を追加して「適用」をクリックし,「OK」でウィンドウを閉じます.
以上で,AlwaysOn 高可用性で必要な通信を許可する設定は完了です.
今回は同じポリシーに追加をしていますが,もちろん別ポリシーとして作成しても大丈夫です.
AlwaysOn 高可用性の構成
スタートメニュー/プログラムの一覧より「SQL Server Management Studio」をクリックします.
「SQL Server Management Studio」より,SQL Server に接続します.AlwaysOn 高可用性を構成しますので管理者権限を持つアカウントでログインしてください.
「AlwaysOn 高可用性」-「高可用性グループ」を選択,右クリックでメニューを表示して「新しい高可用性グループ ウィザード」をクリックします.
「新しい可用性グループ」のウィザードが開始しますので「次へ」をクリックします.
「名前の指定」では可用性グループの名前を決定する必要があります.
今回,グループ名を「AG01」としました.AlwaysOn Group とか Available Group の略称です.
グループの入力が終わったら「次へ」をクリックします.
可用性グループの対象とするデータベースを選択して「次へ」をクリックします.
状態の所に「前提条件を満たしています」と表示されますが,バックアップが存在しない場合はここが「満たしていません」になりますので,その場合は「Microsoft SQL Server – Always On 高可用性 (Always On 高可用性の構成 ②)」を参考にバックアップを取得してください.
「レプリカの設定」の「レプリカ」タブにて「レプリカの追加」をクリックします.
「サーバーへの接続」画面が表示されますので,AlwaysOn 高可用性に組み込む追加のノードを「サーバー名」に入力して「接続」を行ってください.
接続が完了するとこのように「サーバー インスタンス」に追加されます.
「エンドポイント」はどのポートを利用するかを設定する箇所です.規定では「5022/TCP」を利用します.ポートを変えたい場合は変更してください.
(もちろん,ファイアウォールポリシーも合わせて変更してください)
「バックアップの設定」はどのデータベースサーバーでバックアップを行うのかを指定します.
通常はデフォルトの「セカンダリ優先」で良いと思います.
詳細は「SQL Server Always On 可用性グループをバックアップする」を参照ください.
- セカンダリ優先
オンラインのレプリカがプライマリ レプリカのみである場合を除き,セカンダリ レプリカでバックアップを実行することを指定します.
オンラインのレプリカがプライマリ レプリカのみである場合は,プライマリ レプリカでバックアップを実行する必要があります. - セカンダリのみ
バックアップをプライマリ レプリカでは実行しないことを指定します.
オンラインのレプリカがプライマリ レプリカだけの場合,バックアップは実行されません. - プライマリ
バックアップを常にプライマリ レプリカで実行することを指定します.
このオプションは、差分バックアップの作成など,バックアップがセカンダリレプリカで実行されたときにはサポートされないバックアップ機能が必要な場合に役に立ちます. - 任意のレプリカ
バックアップを実行するレプリカを選択するときに,バックアップジョブが可用性レプリカの役割を無視するように指定します.
「リスナー」は AlwaysOn 高可用性グループで提供する接続ポイントを設定します.
後でリスナーを作成することもできますが,通常は合わせて設定します.
「高可用性グループのリスナーの作成」を選択して次の値を設定します.
- リスナーの DNS 名
リスナーに付与する DNS 名です.FQDN で指定する際のホスト名になります. - ポート
リスナーが待ち受けるポートです.ここは通常の Microsoft SQL Server 同様に 1433 を設定する場合が多いと思います. - ネットワークモード
「静的IP」または「DHCP」が指定できます.通常は「静的IP」が多いと思います.
「ネットワークモード」で「静的IP」を選択した場合,IPアドレスを設定する必要がありますので「追加」をクリックします.
「IPアドレスの追加」ではサブネットの選択と,IPアドレスの入力を行います.
入力が終わったら「OK」をクリックして前の画面に戻ります.
入力したIPアドレスが正しいことを確認して「次へ」をクリックします.
「データ同期の選択」ではバックアップデータを選択する必要があります.
バックアップデータはレプリカの高可用性ノードでアクセスする必要がある為,共有ネットワークを指定してください.
バックアップの場所の指定が完了したら「次へ」をクリックします.
「検証」ですべての項目の検証結果が「成功」になったことを確認して「次へ」をクリックします.
「概要」では,ここまで設定した項目が一覧表示されますので内容を確認してください.
内容に問題が無ければ「完了」をクリックして AlwaysOn 高可用性グループの構成を開始します.
AlwaysOn 高可用性グループの構成が完了または失敗したら「結果」に表示されます.
結果がすべて「成功」であれば構成は完了となります.
「閉じる」でウィザードを終了します.
オブジェクトエクスプローラーで見える情報が最新の状態ではない場合が多いため SQL Server を選択,右クリックでメニューを表示して「最新の情報に更新」をクリックします.
「データベース」を開いて同期対象のデータベースの状態を確認します.
「AlwaysOn 高可用性」-「高可用性グループ」-「<作成したグループ>」-「高可用性レプリカ」および「高可用性データベース」を確認します.
以上で,AlwaysOn 高可用性グループの構成は完了しました.
今回の同期対象のデータベースは Windows 統合認証ではなく,SQL Server 認証です.このままだとフェイルオーバーした後認証に失敗しますので追加の設定が必要となります.
Windows 認証の場合はこのまま利用することが可能です.
次回は追加の設定について解説を行います.
コメント