今回は実際の仮想デスクトップの作成について説明を行います.
今回はフルクローン・手動デスクトッププールのの仮想デスクトップの作成について説明を行います.
- VMware Horizon に関するお話
VMware Hoirzon – フルクローンデスクトップの作成と公開 (1)
VDI はプールと呼ばれる箱を作る必要があります.今回はフルクローン用のプールを作成する手順について解説します.
項目が多いため,都度説明を入れています.
Horizon 管理画面のログイン
Horizon Administrator にアクセス,ユーザー名,パスワードを入力,ドメインを選択して「ログイン」をクリックします.
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「手動デスクトッププール」の作成
画面左側メニューの「インベントリ」-「デスクトップ」をクリックしてデスクトッププール一覧を表示して「追加」をクリックします.
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「タイプ」画面で「手動デスクトッププール」を選択して「次へ」をクリックします.
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「マシンリソース」にて,今回は vSphere 上の仮想マシンをフルクローンデスクトップとしますので「vCenter 仮想マシン」を選択して「次へ」をクリックします.
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「vCenter Server」にて,登録している vCenter Server を選択して「次へ」をクリックします.
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「ユーザー割当て」ではデスクトップとユーザーの紐づけを選択することができます.
- フローティング
ユーザーがログオンするたび,空いているデスクトップを自動的に選択して割り当てる方式です.ログオフすると割当てが解除されフリーのデスクトップに戻ります.
インスタントクローンの場合によく用いられます. - 専用
一度割当てたらそのユーザー専用のデスクトップとする方式です.
フルクローンの場合によく用いられます.
「自動割当てを有効にする」を選択した場合,専用割当てにおいて事前に割り当てる方式ではなく,見割当てデスクトップを自動で選択,割当てを行うように構成することができます.
今回は「専用」および「自動割当てを有効にする」を選択して「次へ」をクリックします.
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「デスクトッププール ID」では次の項目を設定します.
- ID
デスクトッププールに付与する ID です.Horizon 接続サーバー内で一意な名前の必要があります. - 表示名
Hoirzon Client で接続した際に表示される名前です.ここが未設定の場合はIDが表示名として利用されます.
通常は利用者が分かりやすいように表示名を設定します. - アクセスグループ
プールの管理を委任する場合に利用します.
例えば部門用のプールを作成し,その管理者を部門のIT管理者に委任する.というような場合です. - 説明
プールの説明を入力します.ここのフィールドは利用者には表示されないため,管理者間で目的などを共有するために利用する箇所です.
今回は「ID」だけ入力して「次へ」をクリックします.
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「デスクトッププールの設定」ではプールの設定を行います.まずはここに表示されている項目のみ説明します.
- 状態
該当プール作成時のプールの状態を設定します.「有効」または「無効」が選択できます. - Connection Server の制限
Connection Server が複数ある場合,特定の Connection Server へのアクセスに限って利用可能としたい.という場合に利用します.通常は「制限無し」でどの Connection Server に接続してもプールが利用できます. - カテゴリ フォルダ
カテゴリーフォルダーを設定することでプールのショートカットを接続元クライアントに作成することができます.
そのため,一度接続したユーザーはショートカットを利用したアクセスを行うことで次回以降の接続を簡略化させることができます. - クライアントの制限
プールを利用できる「接続元クライアント」を制限する際に用いられます.この機能を利用する場合接続元クライアントはドメインに参加している必要があり,コンピューターまたはグループを許可する必要があります.
Windows デスクトップクライアントのみ本機能を利用することができます. - セッションタイプ
VDI としてどのような形態で利用させるかを決定する項目です- デスクトップ
デスクトップ全体を提供する方式です.通常の VDI の利用はこちらを選択することになります. - アプリケーション
デスクトップではなく,ブラウザーなど特定のアプリケーションのみ配信する方式です.この方式は主に Windows Server によるアプリケーション配信で用いられます. - デスクトップとアプリケーション
デスクトップとしての配信とアプリケーション配信の両方を可能とする方式です.こちらも主に Windows Server の場合に利用されます.
- デスクトップ
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- 仮想マシンの電源ポリシー
仮想デスクトップの電源ポリシーを決定します- 電源操作を行わない
仮想デスクトップの電源操作を Horizon で行わない方式です.ユーザーがシャットダウンを行ったらシャットダウンされたままとなり,次に接続したらパワーオンが開始されます. - 常にパワーオン
ユーザーがシャットダウンを行っても Horizon が仮想デスクトップの電源を投入します. - サスペンド
ユーザーが接続していないとき,サスペンドに移行されます.ユーザーが接続したらパワーオンが開始されます. - パワーオフ
ユーザーが接続していないとき,パワーオフに移行されます.ユーザーが接続したらパワーオンが開始されます.
- 電源操作を行わない
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- 切断後にログオフ
Horizon Client などで利用している中,切断された際のアクションを決定します.- 直ちに実行
ユーザーが VDI を切断したら即ログオフを行います.ノートブックなどでよく移動による切断が行われる場合,そのたびにログオフされます. - しない
ユーザーが VDI を切断してもログオフが行われません.固定で割当てを行う場合はこの設定もよく用いられます. - 経過時間
切断後,設定した時間以内に再接続が行われない場合にログオフが行われます.この項目が一番用いられる方式です.
- 直ちに実行
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- ユーザーにマシンの再起動/リセットを許可
ユーザーに再起動・リセットを許可するかを決定します.- あり
仮想マシンの再起動・リセットを許可します.固定で割り当てる場合は許可するケースが多いです.
また,切断後のログオフ時間を長めにとっている場合もトラブル解決のため再起動をユーザーに行わせたい場合は「あり」にすることもあります. - いいえ
仮想マシンの再起動・リセットを許可しません.
- あり
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- 割り当て済みのマシンを表示
Horizon Client で接続した際,プールID(表示名) ではなく,仮想マシン名を表示したい場合にチェックを有効にします.これを利用したいケースは少ないと思います. - マシンエイリアス名を表示
仮想デスクトップにエイリアス名を設定した場合,そのエイリアス名を表示します.また,エイリアスを設定せず「割り当て済みマシンを表示」が有効な場合は仮想マシン名が表示されます.
これについても利用したいケースは少ないと思います.
オプションについて上記まで解説しましたが,今回は表示のとおりに設定して「次へ」をクリックします.
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「リモート表示の設定」ではリモートデスクトップのプロトコルや 3D 処理,デスクトップの画面サイズなどを決定します.
- デフォルト表示プロトコル
Horizon は接続・表示する方法として3つの方式が提供されています.基本は VMware Blast です.- VMware Blast
Blast はリモート(モバイル)環境に最適化された表示プロトコルです.少ない帯域でも良質な画面を提供することができます. - PCoIP
PCoIP はローカルに最適化された表示プロトコルです.設定次第で帯域を絞ることができますが,最近は Blast を基本とし,互換性のために利用するケースが多いです. - Microsoft RDP
Windows リモートデスクトップで利用されるプロトコルです.こちらを利用するケースは少ないと思います.
- VMware Blast
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- ユーザーによるプロトコル選択を許可
- あり
「あり」を選ぶと「デフォルト表示プロトコル」をデフォルトとしますが,ユーザーが任意プロトコルを変更することが可能になります. - いいえ
「いいえ」を選ぶと「デフォルト表示プロトコル」で設定したプロトコルのみに固定されます.
- あり
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- 3D レンダラー
Windows 10 以降,仮想デスクトップの 3D 処理が重要になります.いくつかの方法で 3D 処理を実現または無効にすることができますが,無効はお薦めしません.- vSphere Client を使用して管理
Horizon ではなく,マスター仮想マシンを作成した際の設定をそのまま利用する形式です.積極的にこれを選ぶ理由は無いと思います. - 無効
3D レンダリングを無効にします.最近は Office などのアプリケーションも 3D 処理を要求しますので「無効」はお勧めしません. - 自動
「ハードウェア」が利用できる場合はハードウェアを.利用できない場合は「ソフトウェア」を選択する動作となります. - ソフトウェア
CPU に GPU 処理を行わせるソフトウェア処理です.vSphere 仮想基盤としての CPU 負荷が高まりますが,ハードウェア GPU を搭載していなくても 3D レンダリングで vGPU が利用可能となります. - ハードウェア
GPU 処理をハードウェアにオフロードします.ハードウェア GPU が利用できる場合はこちらを選択します. - NVIDIA GRID VGPU
nVidia の GRID vGPU を利用している場合に本設定を利用します.
- vSphere Client を使用して管理
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- VRAM サイズ
ビデオメモリとして割り当てる vRAM の容量を設定します.基本的にはデフォルトで設定し,不足している場合に増やしていく.という形で考えて大丈夫です. - モニターの最大数
VDI 接続時の接続元クライアントに複数モニターが接続されている場合,複数モニターに対して表示できるようになります.増やすとその分 vRAM が必要になります.
デュアルディスプレイとして VDI を提供したい場合は「2」以上を設定します.
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今回はこのような設定にして「次へ」をクリックしています.
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「仮想マシン」では VDI として提供する仮想マシンを選択しています.
本項目は「手動デスクトップ」の場合に表示される項目になります.今回は1台だけ用意していますのでその1台を選択して「次へ」をクリックしています.
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「詳細ストレージオプション」ではアクセラレーターの設定とページ共有(メモリーの共有)について設定します.
- View Storage Accelerator を使用
本機能は,仮想マシンのディスクアクセスを高速化する機能です.VSA を有効にするとストレージから頻繁に読み込みされるデータを vSphere のメモリーにキャッシュします.
VSA を無効にした場合,ディスクアクセスは全てストレージまで到達することになります.
そのため,VSA は有効にすることが推奨されます.また,インスタントクローンを利用する場合は利用が「必須」となります. - 停電時間
VSA は仮想デスクトップが実行されている際に再生成されます.停電時間として設定した時間帯は再生成を行わないようにすることができます.
夜間は VDI の提供を行わない.などのケースがない限りここの項目を設定するケースは少ないと思います. - 透過的ページ共有の範囲
このオプションは「手動プール」でのみ利用可能です.
キャプチャーとして表示できていませんが「仮想マシン」,「プール」,「ポッド」,「グローバル」が選択できます.
プール,ポッド,グローバルですべての仮想マシンに対して「透過的ページ共有」を有効にすると vSphere ESXi は同じ仮想マシン種別 (OS やアプリ) を使用した際に発生するメモリーページの余分なコピーを取り除きます.
ページ共有は vSphere ESXi ホストの中で行われます.
今回はデフォルトのままとして「次へ」をクリックしています.
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「設定内容の確認」では先の画面で設定していった項目の確認を行います.長いためスクロールして値を確認していきましょう.
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確認が完了したら「送信」をクリックしてプールの作成を完了します.
長くなりましたので今回はここまでとし,次回は資格情報の追加と実際の接続について解説します.
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