Windows Server のフェイルオーバークラスターで提供される代表的なサービスとしてファイルサーバーがあります.
本記事ではファイルサーバーの冗長化の構成を DFS ではなく WSFC で提供する方法について解説します.
今回はエラーと対処,次回に正しい手順の2本立てとなります.
- Windows Server Failover Cluster (WSFC) に関するお話
Windows Server Failover Cluster (WSFC) – ファイルサーバーの冗長化 (1)
では,WSFC によるファイルサーバーの提供について説明します.冒頭記載のとおり今回は準備不足で失敗するケースとその対処を主に説明します.
クラスター化されたファイルサーバーを構成する (失敗例①)
「ツール」-「フェイルオーバークラスターマネージャー」をクリックします.
左側の「フェイルオーバークラスターマネージャー」を展開して「クラスター」を選択,右クリックでメニューを表示して「役割の構成」をクリックします.
「可用性ウィザード」が起動しますので「次へ」をクリックします.
「役割の選択」で「ファイルサーバー」を選択します.
画面には必要な役割・機能が導入されていない旨の警告が表示されます.
このように,役割を構成する際,先に役割・機能を導入しておく必要がありますので注意しましょう.
ファイルサービスの役割と機能の追加
「管理」-「役割と機能の追加」をクリックします.
「役割と機能の追加ウィザード」が起動しますので「次へ」をクリックします.
「役割ベースまたは機能ベースのインストール」を選択して「次へ」をクリックします.
導入するサーバーを選択して「次へ」をクリックします.
「サーバーの役割」で「ファイルサーバー」にチェックを入れます.ファイルサーバーリソースマネージャーなど他の機能も必要であれば合わせてチェックを入れても大丈夫です.
「ファイルサーバー」にチェックがついたことを確認して「次へ」をクリックします.
「機能」は何もせずに「次へ」をクリックします.
「インストールオプションの確認」にて,「ファイルサーバー」が表示されていることを確認して「インストール」をクリックします.
インストールが完了したら「閉じる」をクリックしてウィザードを終了します.
これで役割と機能のインストールは完了しました.
クラスター化されたファイルサーバーを構成する (失敗例②)
左側の「フェイルオーバークラスターマネージャー」を展開して「クラスター」を選択,右クリックでメニューを表示して「役割の構成」をクリックします.
「可用性ウィザード」が起動しますので「次へ」をクリックします.
「役割の選択」で「ファイルサーバー」を選択して「次へ」をクリックします.
ファイルサーバーの種別を選択します.ここでは「汎用ファイルサーバー」を選択して「次へ」をクリックします.
ファイルサーバー情報を入力します.名前がファイルサーバー名,アドレスはファイルサーバーに付与するIPアドレスになります.
入力を終えたら「次へ」をクリックします.
「記憶域の選択」でディスクが表示されません.これは事前に記憶域を登録していないためとなります.
「キャンセル」をクリックしてウィザードを終了させてください.
記憶域ボリュームの用意 1ノード目
「ツール」-「コンピューターの管理」をクリックします.
「コンピューターの管理」-「記憶域」-「ディスクの管理」と辿り,未利用のストレージを選択,右クリックでメニューを表示して「オンライン」をクリックします.
オンラインになったら改めて右クリックでメニューを表示して「ディスクの初期化」をクリックします.
「ディスクの初期化」画面が表示されます.2TB を超えるボリュームの場合は GPT を選択してください.2TB 未満の場合はどちらでも構いません.
「未割当て」の箇所を右クリックでメニューを表示して「新しいシンプルボリューム」をクリックします.
ウィザードが起動しますので「次へ」をクリックします.
「ボリュームサイズの指定」では任意の値を入力します.ここでは自動的に選択される最大サイズを使用しています.
指定が終わったら「次へ」をクリックします.
ドライブ文字を割り当てます.ここではファイルサーバーで共有 (Share) なので「S」ドライブとしています.
ドライブ文字の選択が終わったら「次へ」をクリックします.
「パーティションのフォーマット」ではそのまま「次へ」をクリックして大丈夫です.
今回はボリュームラベルのみ任意で付与しています.
フォーマットが完了するとこのような画面になりますので「完了」でウィザードを終了します.
ディスクの一覧より正しく表示されていることを確認します.
フェイルオーバークラスターなのでノードは複数あります.他のノードでも作業が必要になりますので引き続き以下へ進んでください.
記憶域ボリュームの用意 2ノード目以降
「ツール」-「コンピューターの管理」をクリックします.
「コンピューターの管理」-「記憶域」-「ディスクの管理」と辿り,ストレージを選択,右クリックでメニューを表示して「オンライン」をクリックします.
既に1ノード目でフォーマットされているディスクのため,ドライブ文字が勝手に付与されますがなるべくならすべてのノードで合わせることをお勧めします.
ボリュームの所を右クリックでメニューを表示し「ドライブ文字とパスの変更」をクリックします.
ドライブ文字を選択して「変更」をクリックします.
新しいドライブ文字を選択して「OK」をクリックします.
警告が表示されますが「はい」をクリックして次へ進めます.
ドライブ文字が変わったことを確認します.
フェイルオーバークラスターが3台以上ある場合は全てのノードで同じ作業を実施してください.
フェイルオーバークラスターへ記憶域を追加する
「フェイルオーバークラスターマネージャー」-「記憶域」-「ディスク」と辿り右クリックでメニューを表示して「ディスクの追加」をクリックします.
クラスターに登録できるディスクが表示されますので,チェックを入れて「OK」をクリックします.
登録したディスクをクリックすると画面下部にディスク状態が表示されます.
以上でファイルサーバーのフェイルオーバークラスター化ができる準備が完了しました.
長くなりましたので改めて次回にファイルサーバーのクラスター化について説明します.
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